若竹 presents
トワイライト勉強会
Twilight Study meeting
我が物顔の訪問者 |
呼び鈴に呼ばれて玄関に出ると、ゾロが立っていた。
一番会いたくない奴に、何の心構えも無く遭遇してしまい、サンジは言葉を失った。
黙ったままのサンジにゾロは事務的に話しかけた。「俺、筆箱忘れて無ぇか?」
「は?」
拍子抜けするような現実的な問いかけにサンジも自分を取り戻し
「あ、ああ。そうか。ちょっと見てくるわ。」
と言って2階の自分の部屋に向かった。ゾロが自分の部屋に筆箱を忘れて行った、と言うのだ。
「…筆箱って…。」
全く筆箱も無しで1日どうやって過ごしたのかと思うと少し可笑しくなり
それもゾロっぽいな、と笑みがこぼれた。
部屋の中を探してみると、小机の下に見慣れたゾロの筆箱があった。
それを取り、玄関にいるゾロに渡すために部屋を出ると…。なんとゾロは勝手に家に入って階段を上がり
サンジの部屋の前まで移動していたのだ。「お前!こんな所で何してんだ!」
不意にゾロを目の前にして慌てたサンジは、少々的外れなツッコミを入れた。今、自分の部屋にゾロが入る事にどうしようもない抵抗を感じたのだ。
訳が解らないが、とにかく、嫌だ。
何なんだ、こいつは。何をするためにここに来たんだ。
昨日の事を何とも思っちゃいねぇのか?
色んな疑問が頭をよぎる中、ゾロの返事を待った。「ぁあ?お前がそれを言うかぁ?」
そう言いながらゾロはサンジの部屋に入り込んだ。
最近はほぼ毎日勉強会をしていたし、実際、サンジは今家に居て
暇そうにしている訳で、ゾロにしてみれば、当たり前のように
勉強会をするものだと思ったのだ。「つ、続きって事…か…?」
「ああ。」
サンジは自分でもハッキリと感じられるほど、顔を赤らめて。
・・・・明らかに勘違いしていた。